第106回 尾崎俊介著『アメリカは自己啓発本でできている』

最近話題になっている本、尾崎俊介著『アメリカは自己啓発本でできている』(平凡社)を手にとってみる。

尾崎俊介さんの専門はアメリカ文学・アメリカ文化。
そんな著者がアメリカの自己啓発本の研究を始め、まとめたのがこの本だ。

「自己啓発本」はアメリカと日本でくらいしか読まれていないようだ。
この本では、アメリカでの自己啓発本の歴史、有名な本などが紹介されている。
著者は「自己啓発本」の魅力を熱く語っている。

著者は、兼好法師の『徒然草』、内村鑑三の『代表的日本人』、赤瀬川原平著『老人力』、野村克也著『野村ノート』、落合博満著『采配』なども自己啓発本と考えているようだ。
この点は疑問に思った。
これらの本も「自己啓発本」と考えるなら、確かに自己啓発本もおもしろい。

私は「自己啓発本」を10冊読むよりも、名著と言われる文学を1冊読んだほうが、長い目でみれば得られるものは多いと感じている。
ただし、文学には即効性はないのだが。

「所詮、自己啓発本はカンフル剤でしかない」というのが私の意見だ。
こんなことをいうと、自己啓発本が大好きな人には怒られてしまうかもしれない。

年表「アメリカ・日本の自己啓発本」と「参考/引用文献」一覧は資料として有用である。

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